内宮と外宮は、並列したお宮ではなくご鎮座している場所は、宇治と山田に分かれています。
それぞれ独立した神宮で、かつては「二所大神宮」とも呼ばれていました。
今では、「両正宮」といわれ御祭神が違いますが、お祭りや殿舎もほとんど同じです。
昔から、外宮を先にお参りするのが慣わしでしたので、外宮から詳しくご案内していきたいと思います。
目次
*外宮の由来
外宮の御正宮の正式名称は、「豊受大神宮」(とようけだいじんぐう)といいます。
内宮の鎮座から五百年後に、雄略天皇の夢に天照大御神が現れ「丹波の国の比沼真名井原に祀られている豊受大御神を、お食事を司る
御饌都神(みけつかみ)として迎えてほしい」と神事があり、外宮を高倉山のふもとの山田原に建立し、豊受大御神を丹波の国(京都の天橋立辺り)から
迎えられ、お米をはじめ衣食住、産業全般の神として広く信仰されてきました。
そして、今も天橋立には「元伊勢」と称する神社がいくつかあり、古くからの伝承が残っています。
「御饌」とは、神様のお食事の事をいい、毎日の食物、衣食住の恵みや「おかげ様」に感謝し、外宮ご鎮座以来、毎日朝夕2回大御饌をお供えするお祭り
「日別朝夕大御饌祭」が今日まで続けられています。
*外宮を参拝
御祭神:豊受大御神
ご鎮座:雄略天皇22年
面 積:神域は約89ヘクタール
本 殿:唯一神明造り
最寄駅:JR近鉄 伊勢市駅から徒歩5.6分
所在地:三重県伊勢市豊川町279番地
外宮には、入り口が2つあります。
一つは、伊勢市駅からの表参道を通る入り口、今はこちらが正面口になります。
もう一つは、「北御門」(きたみかど)で、昔はこちらが正面口になっていました。
そして、外宮は右側通行で歩きます。
江戸時代までは、入り口付近にまで民家があったので、「火除橋」(ひよけばし)が架けられています。
橋を渡ると、左側に「手水舎」(てみずしゃ)と右側に「清盛楠」があります。(樹齢8百年)
こちらの、清盛楠には伝説があり「天皇の勅使として国家平安の祈願に参宮した清盛の冠に、楠の枝が触れたので切らせた」といわれています。
一の鳥居をくぐり、右側の奥に見えるのが「斎館」(さいかん)です。
こちらの建物は、お祭りをする時に神職が身を清め参籠(さんろう)する建物で、天皇がご参拝する時にお入りになる「行在所」(あんざいしょ)もこの奥にあります。
つづいて、二の鳥居をくぐると左側に「祓所」(はらえど)、右側には「神楽殿」があります。
皇族の方々の正式参拝はここで車から降りられ、お祓いがなされます。
神楽殿では、お神楽、御祈祷も受け付けています。その他に、御朱印・お神札・御守りの授与所もあります。
こちらを過ぎますと、右側に一本の榊を囲む石畳があります。ここは、外宮の所管社「四至神」(みやのめぐりのかみ)です。
その裏には、「九丈殿」(くじょうでん)と「五丈殿」(ごじょうでん)があり、こちらは雨天の時のお祓いなどに使われています。
さらに進むと、御正宮の「板垣南御門」に着きます。
外宮の御正宮は四重の垣に囲まれていて、外側から「板垣南御門」、「外玉垣」(とのたまがき)、「内玉垣」(うちたまがき)、「瑞垣」(みずがき)となります。
最初の門を入ると左手に「南宿衛屋」があり、第二の垣の「外玉垣南御門」が見えます。
一般のお参りは、入口に垂れ下がっている「御幌」(みとばり)と呼称される白い布までになります。
そこから、一番奥の高く見えるところが、豊受大御神がいらっしゃる「御正殿」になります。
その前方には、皇室からのお供えなどをお納めする「東宝殿・西宝殿」があり、後方には毎日朝夕神様のお食事をお供えする「御饌殿」があります。
≪参拝方法≫
一般的な参拝作法としては、「二拝二拍手一拝」の二度頭を下げて、パンパンと柏手を二回、その後にもう一度頭を下げる作法です。
この作法が定められたのは、明治初期のことでそれまでは、いろいろな作法が各地であり伊勢の人々は、膝をつき頭を下げながら四柏手をしていました。
また、神宮のお祭りでは「八度拝」という、立ったり座ったりを繰り返し、八柏手をする神宮独自の参拝方法もあります。
その他に、昔の「神拝式」には、「五十鈴川または、手水舎で口と手を清め、心を澄まして鳥居をくぐり、みだりに言語せず、参道の中央を歩くのは避け、
痰唾を吐かず、夜の参拝も避ける事」とあります。
個人的な祈願がある場合は、第一別宮の「多賀宮」になります。
※御正宮など撮影禁止箇所がありますので、境内看板をご確認ください。
*外宮境内にあるその他のお宮
御正宮以外の境内にある別宮・摂社・末社・所管社
≪別 宮≫
多賀宮 (たかのみや)
御祭神:豊受大御神の荒魂
土宮(つちのみや)
御祭神:大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)
風宮(かぜのみや)
御祭神:級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)
≪摂 社≫
度会国御神社(わたらいくにみ)
御祭神:彦國見賀岐建與束命(ひこくにみがきたけよつかのみこと)
≪末 社≫
大津神社
御祭神:葦原神(あしはらのかみ)
≪所管社≫
御酒殿神(みさかどののかみ)
御祭神:御酒殿の神
四至神(みやのめぐりのかみ)
御祭神:四至神(神域の守護神)
上御井神社(かみのみいのじんじゃ)
御祭神:上御井鎮守神
下御井神社(しものみいのじんじゃ)
御祭神:下御井鎮守神
*外宮のその他の見どころ
・古殿地(こでんち)
御正宮の隣には新御敷地(しんみしきち)または、古殿地(こでんち)とも呼ばれる場所があります。
ここは、正宮と同じ広さで次回の式年遷宮の時に、御正宮が移られる所になります。
また、古殿地の南側には三ツ石があり、こちらの前で御装束神宝や奉仕員を祓い清めたり、遷宮時の祓えの式では、三ツ石を儀式の中心の位置としています。
・御厩(みうまや)
御厩は、神馬(しんめ)がいる場所になります。神馬は、神様の乗り物とされていて外宮には、天皇陛下からいただいた神馬(白馬)が2頭います。
普段は神馬休憩場や運動場で大切に飼育され、毎月1日、11日、21日の早朝に菊の御門の馬衣を着け御正宮にお参りします。
雨天時や神馬の体調によっては、お参りがない場合もあるようです。
・忌火屋殿(いみびやでん)
御厩の近くにある忌火屋殿は、御饌殿に毎日朝夕お供えする神饌を調理するところです。まず初めに、忌火を熾すところからこちらで行われてます。
・勾玉池
勾玉の形をした池があります。6月には、花菖蒲が美しく咲きます。そして、中秋の名月の時には、観月会などの奉納行事が行われます。
池の近くには、せんぐう館や池を眺めながら休憩できる休憩所もあり、市民の憩いの場になっています。
・亀石
御正宮近くの御池にかかる石の橋で、よく見ると亀の形に見えます。
*内宮と外宮の違い
(内宮)
・屋根の千木:先端が水平に切られている内削(うちそぎ)
・鰹木の数:偶数
・風穴の数:2つ半
・奉仕者:荒木田一族
・東西の宝殿の配置:御正殿の前方
・参道:左側通行
・扉:内開き
(外宮)
・屋根の千木:垂直に切る外削(そとそぎ)
・鰹木の数:奇数
・風穴の数:2つ
・奉仕者:度会一族(わたらい)
・東西の宝殿の配置:御正殿の後方
・参道:右側通行
・扉:外開き
≪山田工作所≫
外宮敷地内にある山田工作所は、式年遷宮に必要な大量の用材や、屋根用の萱の加工のために造られました。
こちらでは、常に小規模な社殿の建て替えや修復のために製材が行われています。
≪季節の花≫
3月:梅 場所:神宮美術館(外宮近くの倭姫文化の森)
4月:桜 場所:神宮徴古館・農業館(外宮近くの倭姫文化の森)
5月:ヒトツバタゴ 場所:勾玉池(外宮境内)
6月:あじさい 場所:神宮徴古館
花菖蒲 場所:勾玉池
8月~10月:コスモス 場所:神宮徴古館
≪神宮で出会える生き物たち≫
五十鈴川、御池、神域内などにいる生き物たち
(鳥たち)
・サンコウチョウ
・アオゲラ
・ウソ
・カワウ
・メジロ
・コゲラ
・オオルリ
・シラサギ
(動物)
・狸
・猪
・ニホンザル
・ニホンジカ
(その他昆虫など)
・サワガニ
・カエル
・イセノナミマイマイ(かたつむり)
・ミカドアゲハ
・アサギマダラ(蝶)
・コヒゲボソゾウムシ
・イセヒゲボソゾウムシ
伊勢神宮へのお参りは、やはり早朝がおすすめです。まだ人の気配も少なく、玉砂利を歩く音と大きな緑の樹々たちの間から射すやわらかい朝陽がとても心地よく、
普段なら気づかないで、あまりよく見ようとはしない自然も、穏やかな心で向き合うと樹々の生命力を感じます。この様にゆったりした気持ちで、参道を進むと
心も洗われて清々しい気持ちで御正宮に参拝することが出来ますので、少し早起きして行くのもいいかもしれません。
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