「神宿る島」沖ノ島の古来より受け継がれている禁忌について学ぶ

「神宿る島」とも呼ばれる沖ノ島には、古来より受け継がれている禁忌(きんき)があります。

そこで見たり聞いたりしたことは、一切口外してはいけないという「お言わず様」。そして、島の一木一草一石たりとも持ち帰ることは許されていません。さらに、女性は一切の立ち入りが禁止されているのです。

そこで今回は、沖ノ島の女人禁制についてご紹介していきます。

海外からは判の声も

2017年7月、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産は世界文化遺産に登録されました。これにより、沖ノ島は世界から注目をされるようになったのですが、困ったことに批判の声も多く寄せられたのです。

その批判の的となってしまったのは、沖ノ島の「女人禁制」というしきたりでした。海外メディアでは、沖ノ島が「男性専用の島」と紹介されたこともあったそうです。古くからのしきたりが女性差別として受け取られ、世界遺産登録への障害になるのではないかと懸念された時期もありました。無事に登録されたことは何よりです。

試しに、他にも女人禁制とされる世界遺産はないのか調べてみたところ、ギリシャのアトス山もそうであることを見つけました。こちらはギリシャ正教の聖地で、600年以上女性の立ち入りは禁止されているそうですよ。さらに驚いたのが、人間の女性だけでなく、動物(ネコ以外)のメスすら入山を禁止されているとか・・・・・・。

沖ノ島が女人禁制なのはなぜ?

ではなぜ、女性が沖ノ島に立ち入ることが禁止されたのでしょうか。その理由ははっきりしていないのですが、考えられているいくつかの説をご紹介します。

女神が嫉妬してしまうから

女性が沖ノ島に上陸できない理由として、女神がその女性に嫉妬してしまうからと言われることがあります。紹介しておきながら何ですが、筆者としてはよくわからない説です。

宗像大社は、辺津宮(へつぐう)・中津宮(なかつぐう)・沖津宮(おきつぐう)という三つのお宮の総称です。その一つ、沖津宮が鎮座してるのが沖ノ島です。そしてそれぞれのお宮では、以下の神様を一柱ずつお祀りしているのです。

  • 沖津宮:田心姫神(たごりひめのかみ)
  • 中津宮:湍津姫神(たぎつひめのかみ)
  • 辺津宮:市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)

神様の名前にそれぞれ「姫」と付くことからもわかるように、三つのお宮では女神をお祀りしているのです。さらに中津宮が鎮座するのも「大島」と呼ばれる島です。ですが、こちらは女人禁制ではありません。

じゃあ、中津宮の湍津姫神は嫉妬しないの? というツッコミをしたくなります。沖津宮の田心姫神だけが特別に嫉妬深い、と言われれば納得ができるのですが・・・・・・どう思われますか?

女性は穢れと考えられていたから

次にご紹介する説は、神道の穢(けが)れという考え方に由来するものです。神道では血は穢れとされ、かつて月経のある女性は神社に入ることは出ませんでした。このことから、沖ノ島に女性が立ち入ることはできなくなったと考えられているようです。これはこれでツッコミたくはなるのですが、我慢します。

女性が近づくのは危険だから

一方、宗像大社の見解はこのようになっているそうです。沖ノ島へ行くのは大変危険なので、女性が訪れることを禁じた、とのこと。沖ノ島が浮かぶ玄界灘は波が荒く、航海の難所とされているのです。とすると、何とももっともらしい理由! 逆に何か隠された秘密があるのでは!? と邪推してしまう筆者がいます。

他にも説があるようですので、興味のある方は調べてみてくださいね。

一般男性も立ち入り禁止に

そんな女人禁制の沖ノ島ですが、男性もみだりに近づける場所ではありません。基本的には宗像大社の神職が一人、10日ごとに交代して常駐しています。一方で一般の男性は、原則として上陸が禁止されています。

ただし、これまでは年に一度チャンスがありました。5月27日の現地大祭の時に限り、抽選で選ばれた約200名の一般男性は禊(みそぎ)を行った後、沖ノ島に立ち入ることができました。

ですが世界遺産登録を受け、宗像大社側も規制を強化することを発表しました。2018年以降は、この5月27日ですら一般人の上陸を認めないことにしたのです。女性がダメなら、男性もダメにしてしまうというこの対応は、ネット上で意外と評価されているようです。

沖津宮遙拝所

では、一般人が沖津宮に参拝することは不可能なのでしょうか。確かに沖ノ島に立ち入ることはできなくなりましたが、大島にある沖津宮遙拝所に参拝するという方法があります。

遙拝(ようはい)とは遠くから拝むこと、大島の北側の海辺には沖ノ島を臨む遙拝所が設けられています。晴れている日には、沖ノ島が見えることもあるそうですよ。

  • 沖津宮遙拝所へのアクセス

JR東郷駅

↓バス約20分

神湊港

↓フェリー約15~25分

大島港ターミナル

↓バス約10分

宗像大社沖津宮遙拝所

最後に

今回は沖ノ島の女人禁制についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。賛否両論出てきそうな難しい問題に、うまく対処した宗像大社はさすがですね! 一般人の全面入島禁止とした代わりに、一般参拝が可能な新しい神事を行うことも検討されているようですよ。

【参考】

  • HUFFPOST

「沖ノ島が女人禁制 ⇒ 男性も禁止。世界遺産登録で「逆転の発想」か」

http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/15/okinoshima_n_17494816.html

「沖ノ島とは? 女人禁制「神の島」は世界遺産になれるのか」http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/29/okinoshima_n_7893402.html

  • Newsweek「世界遺産に登録勧告の沖ノ島、「女人禁制」の風習は外国人には謎だらけ」

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/post-7583.php

  • 宗像大社

「風景を守る>信仰を受け継ぐ風景」

http://www.okinoshima-heritage.jp/protect/landscape

「宗像大社沖津宮遙拝所」

http://www.okinoshima-heritage.jp/visit/yohaisho

  • NEWSポストセブン「孤島・沖ノ島 ただ一人の常駐神職は毎朝全裸で海で禊を行う」

http://www.news-postseven.com/archives/20151002_353229.html

  • ナショナル ジオグラフィック「中西裕人」

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/15/269803/111400017/?img=ph_01.jpg

  • 日本経済新聞「沖ノ島、一般人の上陸全面禁止へ 世界遺産登録 」

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H4R_V10C17A7CC1000/