宗像大社の高宮祭場と高宮参道について

宗像大社にある高宮祭場は、最近パワースポットとしても注目を集めているそうです。そこで今回は、宗像大社の高宮祭場と高宮参道についてご紹介していきます。

目次

高宮祭場とは

高宮祭場は宗像大社辺津宮の一番奥にあり、境内でも最も神聖な場所の一つとされています。というのも、こちらの高宮祭場は古代祭祀の跡を色濃く残す場所だからです。御祭神である宗像三女神が降臨した場所とも伝えられています。

下高宮祭祀遺跡の一部

高宮祭場がある場所は宗像山の中腹で、下高宮祭祀遺跡という遺跡の一部です。下高宮祭祀遺跡からは沖ノ島の祭祀跡から出土した奉献品と共通する物が、数多く発見されているそうです。このことから下高宮祭祀遺跡も、かつての祭祀の中心的な場所であったことがうかがえるといいます。

神社に社殿が造られるようになったのは奈良時代からと言われていますが、こちらの祭祀はそれ以前のものですので、屋外で行われていました。これを庭上(ていじょう)祭祀と呼ぶそうです。

昭和の大造営で整備された

高宮祭場について、もしかしたら勘違いされている方が多いのではないか、と思うことがあります。

それは、現在の高宮祭場や高宮参道(詳しくは後述します)が昭和の時代に整備されたという点です。すなわち、現在の高宮祭場はかつて古代祭祀が行われていたままの姿をとどめているわけではないということです。

「パワースポット」と呼ばれる場所とそういった事実との相性は良くないのか、ネット上ではさも高宮祭場で古代から祭祀が行われてきたという書き方がされていることが多々あります。ですが残念ながら、そうではありません。

とはいえ、神籬(ひもろぎ)の古代祭場を間近で見ることのできる、全国でも珍しい場所であることには違いありません。実際に、遺跡の一部ではありますしね!

宗像大社のために数十億円を投じた出光の創業者

昭和に整備されたと知って残念だと思った方に、少し良いお話をできればと思います。

高宮祭場の整備を含めた「昭和の大造営」は、出光興産の創業者・出光佐三の協力によって実施されました。出光佐三は現在の宗像市赤間の出身で、最近では小説『海賊と呼ばれた男』の主人公のモデルとしても知られています。

そんな出光佐三ですが宗像大社への信仰が非常に篤く、現在の宗像大社を作ったといっても過言ではないの人物なのです。昭和の大造営だけでなく、沖ノ島の学術調査費用担なども負担しています。出光佐三が最終的に宗像大社に投じた金額は、なんと数十億にも上るそうです。

さらにすごいのが、宗像大社の境内には一切、出光佐三の名前が残っていないことです。神社側が出光氏の名を刻んだ記念碑の建立の話を持ち掛けたのですが、本人はそれを拒否したといいます。名を残さぬ美学とでもいえるでしょうか。

・・・この話を聞いたら、高宮祭場がとてもありがたく思えてきませんか?

高宮祭場で行われるまつり

それでは、話を再び高宮祭場に戻します。

高宮祭場では現在、祭祀が行われています。一般の方も見学することができますので、辺津宮を訪れた際には是非参加してみてください。

月次祭(つきなみさい)

毎月1日と15日の11時(スタート時間は2017年6月現在)から、月次祭が行われています。雅楽の演奏や早乙女による舞などが奉納されます。

高宮神奈備祭(かんなびさい)

毎年10月3日18時より、高宮神奈備祭が斎行されます。こちらは10月1日から3日間に渡って行われる秋季大祭を締めくくる祭事でもあります。御祭神の宗像三女神に対して、秋の祭りが無事に斎行できたことへの感謝をするとともに、神威の無窮(むきゅう/無限や永遠といった意味)を祈ります。

夜から行われるお祭りですので、ライトアップされた空間で祭祀は執り行われます。見ている側も圧倒されるような、神聖な空気が漂います。

また、他にも1月1日の新年祭、4月2日の春季大祭、10月3日(午前中)の秋季大祭にも、高宮祭場で祭祀が行われています。

割符守(わりふまもり)

高宮祭場まで行かないと、手に入れることのできないお守りというのもあります。割符守(初穂料300円)といい、木でできた真ん中で二つに折るタイプのお守りです。

右側に名前と年齢を記入して割ったあと、高宮祭場にある専用の場所にくくりつけます。そして残った左側は持ち帰り、お守りとして大切に扱います。

通常のお守りはお土産などでいただくことがありますが、こちらのお守りは自身で現地まで行かないとなかなか入手できないものです。その分、ご利益があるかもしれませんね。

高宮参道について

それでは、次は高宮祭場までの道のりについてです。

高宮祭場へは辺津宮の本殿近くに入口がある、高宮参道を通っていきます。本殿の右手、屋根のある門の上に「高宮参道」と書かれていますので、すぐにわかると思います。

歩きやすい靴で

高宮参道には途中、急な階段もあるため、歩きやすい靴で行かれることをおすすめします。手すり付きの階段ではありますが、足元に注意してくださいね。徒歩約5~10分程度で高宮祭場に到着します。

御神木・相生の樫

結構長い距離を歩くことになりますが、その途中には相生の樫という御神木もありますので手を合わせてみてください。

相生の樫とは二本の幹から伸びた枝が、仲良く結ばれていることからその名が付けられたそうです。この姿から縁結びや夫婦円満のご利益があると言われています。

最後に

今回は、高宮祭場とそこへ続く高宮参道についてご紹介しました。古代の姿そのままではありませんが、静謐(せいひつ)な空気漂う神聖な空間です。宗像大社の辺津宮に行かれた際は本殿で満足せず、是非とも高宮祭場にまで足を運んでみてくださいね。

【参考】

http://ma-ch.net/munakata-taisha-powerspot/

http://www.9navi.jp/munakata-shrine.html

https://www.welcomekyushu.jp/article/?mode=detail&id=144

http://miuratoshinori.com/2015/03/23/%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E3%81%AE%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E3%82%92%E8%A8%AA%E3%81%AD%E3%81%A6%E3%80%80%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%91%EF%BC%99-%E5%AE%97%E5%83%8F%E5%A4%A7%E7%A4%BE-%E8%BE%BA%E6%B4%A5%E5%AE%AE%E3%81%AE/

http://www.okinoshima-heritage.jp/visit/hetsumiya

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/sekai_isan/suisenchu/pdf/suisensho_2_jpn.pdf

http://www.munakata-taisha.or.jp/html/kannnabisai.html

http://www.munakata-taisha.or.jp/pr/takamiyasaijoh.html

http://www.city.munakata.lg.jp/w010/030/020/040/0020/20150317102044.html

http://www.sankei.com/west/news/170116/wst1701160001-n2.html

http://rkb.jp/idemitsu/

http://ixei.hatenablog.com/entry/2017/06/16/120800

http://www.kisato-world.com/blog/?p=8496