宗像大社と厳島神社の関係について

福岡県の宗像大社と広島県にある厳島神社、遠く離れたこの二つの神社には共通点があることをご存じでしょうか。まず、いずれも世界遺産に登録されていますよね。さらにこの二つの神社は、御祭神が一緒でもあるのです。

さて、宗像大社は全国に数多くある宗像神社の総本宮。御祭神も同じなら、この二つの神社、何かしら関係があるのではないかと思えますよね。もしかしたら、厳島神社も宗像神社の一つかなの? そう疑問に思ったので、調べてみることにしました。

そこで今回は、宗像大社と厳島神社の関係についてご紹介していきます。

宗像大社は宗像神社の総本宮

2017年、世界文化遺産に登録されたことにより、ますます注目を浴びている宗像大社。

日本全国には「宗像神社」という名の神社が、6,200社ほど存在するといわれています。そして宗像大社は、それらの神社の総本宮であることでも有名です。

よく「こちらの神社は全国にある●●神社の総本宮」などと見たり聞いたりすることがありますが、そもそも総本宮とは何なのでしょうか。辞書を引いてみると、『神霊を他に分けて祭った、おおもとの神社』と書かれていました。

分霊して他の地にお祀りすることを勧請(かんじょう)といいます。そのため、総本宮とそこから勧請されて創建された神社は、例えるならば本店と支店の関係といえるでしょうか。

ご祭神はどちらも宗像三女神

記事の冒頭で、宗像大社と厳島神社のご祭神は一緒であることをご紹介しました。この二つの神社でお祀りされている神様は、宗像三女神といいます。

  • 田心姫神(たごりひめのかみ)
  • 湍津姫神(たぎつひめのかみ)
  • 市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)

宗像三女神とは、上記の三柱の神様たちの総称のことです。三女神は姉妹といわれていますが、中でも特に有名なのは三女の市杵島姫神です。こちらの神様は神仏習合の時代より、七福神の弁天様とも同一視されているんですよ。

さて、宗像大社と厳島神社は御祭神が一緒。ということは、厳島神社は宗像大社から宗像三女神を勧請してできた神社なのでしょうか。もしそうである場合、厳島神社も宗像神社と名乗っていないのでしょうか。

なぜ厳島神社は宗像神社ではないのか

結論から申し上げると、神様は一緒ですが、厳島神社は宗像大社から勧請してできたわけではありません。厳島神社の創建は、宗像大社とは関係がありません。

厳島神社の創建について

広島県廿日市市にある厳島神社の創建は、西暦593年のことと伝えられています。日本初の女帝・推古天皇が即位した年ですから、非常に歴史のある神社であることがわかります。聖徳太子(厩戸皇子)が活躍していた頃ということですね。

厳島神社のある安芸の宮島は、日本三景の一つに数えられ、長い間日本人に愛されてきました。そんな宮島を593年当時に治めていたのが佐伯鞍職(さえきくらもと)という人物だといわれています。そしてこの人物によって、現在の地に社殿が造られたとされています。

厳島神社の社殿といえば、海上に建てられていますよね。非常に特徴的です。現在のような大きな社殿の原型を造ったのは、平清盛だといわれています。しかし、創建時から社殿は海辺にあったようですよ。では、なぜそんな場所にわざわざ社殿を建てたのでしょうか。気になりますよね。

初期の神道にはよくあることですが、島全体が信仰の対象となっていたことが関係しているようです。そこで陸地に社殿を建てるのは畏れ多いという理由で、潮の満ち引きするところに建てられたといいます。

実は別の神様だった?

ということで、宗像大社と厳島神社は同じ神様をお祀りしているものの、神社としては関係が薄いようです。広島の厳島神社も、全国に500社ほどあるという厳島神社の総本宮だそうですよ。宗像大社が全国の宗像神社と結ぶネットワークとはまた違ったネットワークを、全国の厳島神社と結んでいるということですね。

もとは伊都岐島神をお祀りしていた?

また、調べていくと非常に興味深い説を見つけました。厳島神社が元来お祀りしていた神様は、宗像三女神ではなかったという説です。

なんでも、創建当時にお祀りされていた神様は宗像三女神ではなく、伊都岐(いつき)島神という神様だったそうです。正体がよくわからないこの神様ですが、神社のある宮島(厳島)そのものだったのではないかと考えられてるようです。

厳島は、もともと“神を斎(いつ)きまつる島”という意味で「伊都岐島」と書かれていました。平清盛が信仰していたのも伊都岐島神を信仰していたのではないか、ともいわれているようです。

伊都岐島神から市杵島姫命へ

そんな伊都岐島神から宗像三女神へと御祭神が変わったのは、市杵島姫命と音が似ていたからだそうです。「いつくしま」と「いちきしま」、確かに一音違うだけですもんね。

そんなことから伊都岐島神と市杵島姫命が同一視され、さらにお姉さんたちも追加されてお祀りされるようになったそうです。信じるか信じないかはあなた次第ですが、なかなか面白いですよね。

最後に

今回は福岡県宗像市にある宗像大社と、広島県廿日市市にある厳島神社の関係についてご紹介しました。とはいえ、あまり関係はなかったようですが・・・・・・。ですが、それぞれの神社の特徴や成り立ちを調べてみると、意外とおもしろいものです。何気なく参拝している近所の神社にも、調べてみると隠れた秘密があるかもしれませんよ!