七夕伝説発祥の地、中津宮とその周辺情報

宗像大社には三つのお宮があります。九州本土にある辺津宮(へつみや)、大島にある中津宮(なかつみや)、そして沖ノ島にある沖津宮(おきつみや)です。今回はその中でも、中津宮とその周辺情報などについてご紹介していきます。

目次

中津宮の基本情報

湍津姫神をお祀りしている

宗像大社の御祭神は宗像三女神です。宗像三女神というのは、市杵島姫命(いちきしまひめのかみ)・湍津姫神(たぎつひめのかみ)・田心姫神(たごりひめのかみ)という三柱の女神のことです。

女神たちの誕生には、こんなお話があります。天照大神(アマテラスオオミカミ)は、弟のスサノオノミコトが謀反を起こすのではないか、と疑いをかけます。そこでスサノオは、自身にはそのような考えはないことを証明するために「誓約(うけい)」を行いました。

「誓約」というのは、占いという意味です。もし女の子が生まれたら、疑いは晴れるものとしました。そこで、スサノオが持っていた十拳(とつか)の剣を天照大神が3つに折り、噛んで息を吐き出しました。その結果、生まれたのは三女神でした。

宗像大社のお宮では、三女神をそれぞれ一柱ずつお祀りしています。今回ご紹介する中津宮でお祀りしているのは湍津姫神です。中津宮は海を隔てて、本土の辺津宮と向かい合って鎮座しているそうです。姉妹の仲が良さそうですね。辺津宮でお祀りされているのは妹の市杵島姫命です。

七夕伝説発祥の地

中津宮の境内にはなんと、「天の川」という川が流れています。実は宗像大社の中津宮は、七夕伝説発祥の地とも呼ばれているのです。

昔、とある貴族の若者が、朝廷の命により大陸から織女たちを連れてきました。そして若者は、そのうちのひとりと恋に落ちました。ですが若者は役目を果たしたとして都に帰り、織女たちは宗像大社の辺津宮に預けられることになります。

その若者は、その後もひとりで都でのわびしい生活を送っていました。しかしある晩、枕元に天女が現れ、「宗像の中津宮へ行きなさい」というお告げを聞きます。そして大島に向かった若者が天の川で禊をしていると、手桶の中に恋をした織女が映っていたそうです。

以来、その若者は神に仕え、毎年七夕になると水鏡に映る織女との逢瀬を楽しんだという言い伝えがあるそうですよ。

現在の中津宮境内には、天の川を挟んで牽牛社・織女社が鎮座しています。そして旧暦の七夕(8月7日)になると大島七夕祭りが行われ、多くの人びとで賑わいます。

島の北には沖津宮遥拝所がある

大島の北側には、沖津宮遥拝所があります。「神の宿る島」と呼ばれる沖ノ島には、基本的に一般人が立ち入ることは禁じられています。そこで沖津宮の遥拝所が大島に設けられているのです。運がいいと、遥拝所からは沖ノ島を見ることができます。

なお中津宮の社務所では、沖津宮遥拝所の御朱印もあわせていただくことができます。忘れずにいただいてくださいね。

アクセス

大島へ渡るには、まず神湊漁港へ行く必要があります。宗像大社辺津宮の最寄り駅であるJR東郷駅から西鉄バスで約20分、「神湊波止場」で下車します。

神湊から大島港に向かうには、フェリー「おおしま」もしくは旅客船「しおかぜ」を使います。悪天候の場合は欠航となる可能性もありますので、事前に宗像市HP「大島渡船運航時刻表」などで確認していくと良さそうです。

http://www.city.munakata.lg.jp/tosen/oosima.php

所要時間は「おおしま」で約25分、「しおかぜ」だと約15分となっています。料金は大人片道560円、小学生以下は280円です(2017年11月現在)。

大島港ターミナルから中津宮は徒歩で約5分、港からほど近い鳥居をくぐると、すぐに到着します。

大島は宗像大社だけじゃない!中津宮の周辺情報

自転車?観光バス?それともゆっくり徒歩で巡る?

大島港ターミナルの1階では、レンタサイクルの貸出も行っています。1日500円で電動アシスト自転車を借りることができますので、風を感じながら島を巡ると気持ちが良さそうです。

大島での交通手段は、他にも観光バス「グランシマール」があります。大島港ターミナル~大島交流館~沖津宮遥拝所~御嶽山入口~砲台跡を繋いでいます。一乗車につき300円ですが、一日乗車券は700円で販売されています。

また、「九州オルレ」をご存じでしょうか。地図を手にリボンや標識を巡ってゆっくり歩くという、大人のオリエンテーションのことです。九州には現在コースが12あり、そのうちのひとつが宗像・大島コースです。

所要時間は4~6時間で、コースの中には中津宮と沖津宮遥拝所も含まれています。時間がたっぷりある方は、こちらもおすすめです。

うみんぐ大島で子供も大人も楽しもう

「うみんぐ大島」は、大島港ターミナルから徒歩10分ほどの場所にある海洋体験施設です。プレジャーボートやシーカヤック、ビーチコーミングなどを楽しむことができます。また釣り教室もあり、初心者の方も安心して釣りができるように道具もすべて揃っています。

子供だけでなく、大人も楽しめる施設となっています。詳しくは、うみんぐ大島の公式HPをご覧ください。

大島交流館

「大島交流館」は、平成29年7月にオープンした施設です。パネル展示や巨大スクリーンなどを通して、大島の歴史やスポットだけでなく、沖ノ島への理解も深められます。

入場料は無料で、巨大すごろくやキッズスペースなどもあるので、家族で楽しめる場所だと思います。

【大島交流館】 電話番号0940-72-2797

ご当地丼の三女神丼(ひめどん)を味わおう

せっかくなら、美味しい物も食べたいですよね。そこでご紹介したいのが、ご当地丼の「三女神丼(ひめどん)」です。大島でとれた新鮮な魚をふんだんに使った海鮮丼です。

三女神丼を味わうことができるのは、島内の旅館です。いずれも事前予約が必要だそうですので、忘れずに問い合わせてから向かいましょう。

  • 民宿つわせ 電話番号0940-72-2015
  • 民宿まなべ 電話番号0940-72-2422
  • 民宿ふじ島 電話番号0940-72-2631
  • 宮崎荘 電話番号0940-72-2138
  • 三好屋旅館 電話番号0940-72-2003 

今回は、中津宮とその周辺情報についてご紹介しました。大島の見どころは、中津宮だけではありません。自然とのふれあいが楽しめる、絶好の場所にもなっています。宗像大社の辺津宮に行かれる方は、あと少しだけ、足を伸ばしてみてくださいね!

【参考】

  • 『まるっと宗像・福津』文榮出版社
  • 『神道』井上順孝
  • 広辞苑「誓約」
  • 宗像市HP「大島渡船運航時刻表」

http://www.city.munakata.lg.jp/tosen/oosima.php

  • 宗像市HP「市営渡船大島航路」

http://www.city.munakata.lg.jp/w050/040/040/050/050/0050/201501270633.html

  • 宗像大島.com「渡船ガイド」

http://munakataoshima.com/info/time.html

  • 宗像大社HP「宗像大社中津宮」

http://www.okinoshima-heritage.jp/visit/nakatsumiya

  • むなかた電子博物館「中津宮の七夕伝説」

http://www.d-munahaku.com/culture/roman_road/oo-nakatumiya-7.html

  • 宗像観光ガイド「むなかたレンタサイクル”むなくる”」

http://www.muna-tabi.jp/k002/content/20170530154455.html

  • 宗像観光ガイド「九州オルレ 宗像・大島コース」

http://www.muna-tabi.jp/20150331215823.html

  • うみんぐ大島HP

http://umi-ing.com/#

  • YOMIURI ONLINE「「沖ノ島」にぎわう、大島交流館オープン」

http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/culture/heritage/20170715-OYS1T50069.html