大きな神社で参拝の醍醐味といえば、本殿に臨むこともそうです、御朱印をいただくのもいいでしょうが、参道に魅力があります。
神社巡りが好きな私のような人は共感していただけるのではないでしょうか?
ここでは出雲大社の参道の魅力を紹介していきます!
目次
一の鳥居(宇迦橋(うかばし)の大鳥居)
4つある鳥居のうちの1つ目高さ23メートルの一の鳥居をくぐります。これは大正4年に竣工され、日本一の大きさを誇るものです。
この先には松並木の神門通りが伸びています。
一畑電鉄の出雲大社前駅の前を通り、突き当りまで行くと角に平成24年開設の「ご縁横丁」があり、出雲の食べ物やお土産店が軒を連ねており、門前町の風情を楽しめます。目の前には大社への入り口となる二の鳥居があります。
二の鳥居(勢溜(せいだまり)の大鳥居)
かつて門前は大変な賑わいがあり、気が溜まる場所として勢溜と呼ばれるようになったようです。
車社会になり駐車場のある大社横に人通りが流れていましたが、神門通りにも駐車場ができ、賑わいを取り戻しつつあります。
千家尊福公像(せんげたかとみこうぞう)
鳥居をくぐって右側にあるのは第80代出雲国造の千家国造の千家尊福公の銅像です。
唱歌「一月一日(いちがついちじつ)」の作詞をされた方でもあり、神社の奉納で歌わせて頂いている私は欠かさずご挨拶しています。
祓社(はらえのやしろ)
祓社には、大赦の祝詞でも名前の出る罪穢れを祓う「祓戸神(はらえとのかみ)四柱」(瀬織津比売命(せおりいつひめのみこと)・遠秋津姫尊(はやあきつひめのみこと)・気吹戸主尊(いぶきどぬしのみこと)・速佐須良姫尊(はやさすらひめのみこと)
※それぞれ川、滝・海・風・地底、霊界の神)の神々が祀られています。
小さくて見逃してしまいそうになりますが、御本殿参拝の前には「祓い給え、清め給え」と祈りを捧げましょう。
浄めの池・野見宿禰(のみすくね)神社
祓社で身を清め、全国の神社でも珍しい「下り参道」を降りていきます。
NHKの番組「ブラタモリ」では坂道好きなタモリさんがこの坂道に喜んでいましたね。
ここを歩いていると冥界の主でもある大国主命大神の神域へ入っていく独特の感覚を覚えます。参道は高低差24メートルで、御本殿の高さとほぼ同じです。
参道右側の森にある浄めの池は、春は桜、夏は蓮、紫陽花や睡蓮なども咲き、鳥や花を見ながら気を整えると心が落ち着きます。
参道の反対側に土俵が見えますが、その近くの野見宿禰神社には、第13代の出雲国国造であり相撲の祖と言われる野見宿禰命が祀られています。
天皇の崩御の際に殉死者をともに埋める代わりに埴輪を立てることを立案したと日本書紀に記されており、天皇の葬儀を司った土師氏(はじうじ)の始祖とされています。
祓い橋・三の鳥居・松の参道
出雲大社の背後の八雲山から流れる素賀川にかかる祓橋を渡ると御神域の中枢に入ってきます。
目の前の鉄製の三の鳥居の先は樹齢400年以上の松が左右に並ぶ松の参道ですが、松の根の保護のため外側を歩くようになっています。
杵那築(きなつき)の森
松の参道の右側が広い御神苑になっており、その北側の外れに杵那築の森があります。
かつて遷宮で使った杵などの建築用具が納められていて、ひっそりとたたずむ姿に古代出雲の空気を感じます。子供の夜泣きにご利益があるとの言い伝えもあります。
ムスビの御神像・御慈愛の御神像
この森から見える大きな像がムスビの御神像です。
大国主命大神は、海のかないたからやってきた少名毘古那神(すくなひこなのかみ)とともに国造りを進めていきましたが、少名毘古那神は国造り半ばで去ってしまい、大神は自信を失います。
そこへ日本海の荒波から不思議な光が現れ、自分を祀ることで国造りが成就すると語りかけます。御神像はその場面を再現したものです。
「われは汝の幸魂奇魂なり」と語ったこの光は、大神自身の和魂(にきみたま)で、この後、国造りを成し遂げられたのは幸魂奇魂のお助けがあったからこそだと言われています。
出雲大社のお祭りで参拝者も三唱する「幸魂奇魂守給幸給(さきみたまくしみたままもりたまひさきはえたまえ)」という独特な神語はこの場面に由来します。
日常でも唱えると良いそうです。覚えておきましょう。
参道反対側には御慈愛の御神像があります。「因幡の白兎」の神話で、皮をむかれて苦しむ兎に若き大神が治療法を教える場面です。大神の慈愛が心から伝わってくるようです。
参道を歩いているだけで、緊張と威厳の感覚がします。
そしてそこにある建造物を知ることで出雲大社の歴史や神話に触れることができます。そうすることで様々な神様を近くに感じることができ、御社からは「いらっしゃい。よく来たね」と言っていただけるような気さえします。この感覚は参道を歩いたことがある人なら共感できるのではないでしょうか。
以上参道をご説明いたしました。順番にご説明しましたがルートはもちろん自由ですので参考にして頂ければ幸いです。
境内に入るまでにこんなに見どころがあるのは出雲大社だけ(?)かもしれませんね。
関連ページ「出雲大社の御神体とは」
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