伊勢神宮の別宮巡り

目次

別宮(べつぐう)とは?

 

別宮とは、「御正宮のわけみや」という意味で、御正宮(ごしょうぐう)に次いで尊いお宮のことです。

別宮は全部で14社あり、 皇大神宮(内宮)に10社、豊受大神宮(外宮)に4社あります。

そのお宮は、内宮・外宮の境内に御鎮座されるお宮もあれば、境外に御鎮座されているお宮もあります。

そこで、別宮14のお宮について詳しく説明していきたいと思います。

 

【別宮(14社)】

*内宮(10社)

1.荒祭宮(あらまつりのみや)  所在地:内宮境内
伊勢神宮 荒祭宮

【祭神:天照坐皇大御神荒御魂(あまてらしますすめおおみかみのあらみたま)】

内宮の第一の別宮の天照坐皇大御神荒御魂は、 天照大神の荒御魂をおまつりしています。ご神体は鏡とされています。

外宮の多賀宮も荒御魂をおまつりしていますが、和御魂に対して積極的で活動的な神霊で昔から困ったことがあれば助けてくださる、

長生きさせてくださるといって、伊勢の人々は信仰してきました。

荒祭宮への参拝は、内宮の御正宮参拝後に参拝するのが正しいとされ、御正宮から荒祭宮に向かう途中には、籾種石(もみだねいし)や

御稲御倉(みしねのみくら)がありお米の神、稲魂(いなだま)がおまつりされています。その先に、外幣殿(げへいでん)があります。

その下りの石段を約40段ほど降りた所に、4つに割れた「天」の字のように見える石があり、この石は「踏まぬ石」と呼ばれ避けて通るように言い伝えられています。

社殿は内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています。

 

2.月讀宮(つきよみのみや) 所在地: 三重県伊勢市中村町742-1
月読宮

【祭神:月讀尊(つきよみのみこと)】

3.月讀荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや) 所在地:月讀宮境内

【祭神:月讀尊の魂】

4.伊佐奈岐宮(いざなぎのみや) 所在地:月讀宮境内

【祭神:伊弉諾尊(いざなぎのみこと)】

5.伊佐奈弥宮(いざなみのみや)所在地:月讀宮境内

【祭神:伊弉冉尊(いざなみのみこと)】

月讀宮には、4つの社殿が並んでいます。向かって右側から月讀荒御魂宮・月讀宮・伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮です。

月讀宮には天照大御神の弟神、月讀尊をおまつりし、伊佐奈岐尊、伊佐奈弥尊が月讀尊の父母です。

月讀荒御魂宮には、月讀尊の魂をおまつりしています。

外宮別宮の月夜見宮の祭神「月夜見尊」は本別宮と同じ神とされています。

また、複数の社殿が並ぶ別宮は月讀宮以外では瀧原宮の2社のみです。

内宮からは、歩いて20分ほど歩いたところにあります。

社殿は内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています。

神宮の「御朱印」を頂ける7か所のうちの1つで、御朱印を頂ける場所は「守衛屋」です。

【月讀宮境内:別宮】
・月讀荒御魂宮
・伊佐奈岐宮
・伊佐奈弥宮

【月讀宮境内:末社】
・葭原神社

 

6.瀧原宮(たきはらのみや) 所在地: 三重県度会郡大紀町滝原872

【祭神:天照大御神御魂(あまてらすおおみかみのみたま)(和御魂)】

7.瀧原竝宮(たきはらならびのみや) 所在地:瀧原宮境内

【祭神:天照大御神御魂(あまてらすおおみかみのみたま)(荒御魂)】

瀧原宮は、内宮をそのまま小さくしたような深い森があり、とても大きな杉の木があります。

御手洗場(みたらし)には、頓登川(とんど)という清流がありとても心地よく心安らぐ場所です。

社殿は、瀧原宮と瀧原竝宮が並んでいます。内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています

神宮の「御朱印」を頂ける7か所のうちの1つで、御朱印を頂ける場所は「社務所」です。

【瀧原宮境内:所管社】
・若宮神社 
・長由介神社
・川島神社

 

8.伊雑宮(いざわのみや) 所在地: 三重県志摩市磯部町上之郷374

【祭神:天照坐皇大御神御魂 (あまてらしますすめおおみかみのみたま)】

志摩国の一宮です。伊雑宮に奉納する米の田植えを毎年6月24日に行なう御田植式は、

香取神宮・住吉大社とあわせて日本三大御田植祭とされています。

社殿は内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています

神宮の「御朱印」を頂ける7か所のうちの1つで、御朱印を頂ける場所は「社務所」です。

【伊雑宮所管社】
・佐美長神社 所在地: 三重県志摩市磯部町恵利原1273
・佐美長御前神社4社 所在地:佐美長神社境内

 

9.風日祈宮(かざひのみのみや) 所在地:内宮境内

【祭神:級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)】

外宮の風宮と同じく蒙古襲来の時に、本来は、農耕に適した風雨をもたらす神とされる級長津彦命と級長戸辺命が、

神風を吹かせて日本を守ったと伝えられています。

内宮境内にある、風日祈宮は南山と言われる森にあって、この辺りは約5百年間、自然のままを保つ貴重な森林です。

社殿は内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています

 

10.倭姫宮(やまとひめのみや) 所在地: 三重県伊勢市楠部町字赤井谷5
別宮 伊勢神宮

【祭神:倭姫命(やまとひめのみこと)】

倭姫宮は、内宮と外宮のちょうど中間の倉田山にあります。

第11代垂仁天皇(すいにん)の皇女「倭姫命」は、皇大神宮を伊勢の地に創建した初代の斎王と言われています。

社殿は内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています

神宮の「御朱印」を頂ける7か所のうちの1つで、御朱印を頂ける場所は「守衛屋」です。

 

 

*外宮(4社)

11.多賀宮(たかのみや) 所在地:外宮境内
伊勢神宮 多賀宮

【祭神:豊受大御神の荒御魂(あらみたま)】

力強い決断力を発揮しなければならないお働きを荒御魂(あらみたま)といい、荒々しい側面をもった荒ぶる御魂とも言われています。

その反対に平穏ゆったりとした普段の魂は、和御魂(にぎみたま)といいます。

荒御魂と和御魂は、同一の神であっても別の神に見えるほどの強い個性の表れであります。

神宮では荒御魂と和御魂を別にまつられています。

多賀宮は、外宮の第一の別宮で、外宮正宮南方の檜尾山(ひのきおやま)にあります。

約100段の石段を登った高い場所におまつりされているので、昔は高宮(たかのみや)とも言われていましたが、

縁起のよい字を当て多賀宮(たかのみや)になったと考えられています。

足腰が悪く石段を登れない人のために、御池(みいけ)のほとりに別宮遥拝所(べつぐうようはいしょ)が設けられています。

正宮前の池の横の亀石は、高倉山の天岩戸の入り口の岩を運んだと伝えられています。

また、多賀宮の前にはかわいい顔の石、「寝地蔵さん」もあります。

社殿は外宮に準じ外削ぎの千木と、5本で奇数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています。

 

12.土宮(つちのみや) 所在地:外宮境内

【祭神:大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)】

『神名秘書』では、山田原地主の大歳神、宇迦魂神、土御祖神の土宮3座と記載されています。

またご神体は大歳神と土御祖神が鏡、宇迦魂神が宝壺です。

昔、伊勢の地は度重なる宮川の氾濫に治水の守りが大切でした。

土宮の奥には水の神様、下御井神社がありその小さな神殿の中には井戸が掘られていて、清水がこんこんと湧き出ています。

社殿は外宮に準じ外削ぎの千木と、5本で奇数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています。

土宮は、外宮正宮南方の檜尾山(ひのきおやま)にあります(多賀宮の下にあります。)

 

 

13.月夜見宮(つきよみのみや) 所在地: 三重県伊勢市宮後 一丁目3番19号

【祭神:月夜見尊(つきよみのみこと)・月夜見尊荒御魂(つきよみのみことのあらみたま)】

『神名秘書』ではご神体を鏡としています。

月夜見尊は、内宮別宮の月讀宮の祭神で月讀尊と同じ神であり、天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟神です。

内宮の月讀宮は「古事記」の表記になっていて、外宮の月夜見宮は「日本書紀」の表記になっています。

昔は高河原(たかがわら)と呼ばれ、農耕の神をおまつりする神社でした。

また、高河原の川の神と呼ばれ、女性にゆかりのある神ともされています。

社殿は外宮に準じ外削ぎの千木と、5本で奇数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています。

神宮の「御朱印」を頂ける7か所のうちの1つで、御朱印を頂ける場所は「守衛屋」です。

【月夜見宮境内:摂社】
・高河原神社

 

14.風宮(かぜのみや) 所在地:外宮境内

【祭神:級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)】

本来は、農耕に適した風雨をもたらす神とされる級長津彦命と級長戸辺命ですが、

蒙古襲来の時に、神風を吹かせて日本を守ったと伝えられています。

社殿は外宮に準じ外削ぎの千木と、5本で奇数の鰹木を持つ萱葺の神明造になっています。

風宮は、外宮正宮南方の檜尾山(ひのきおやま)にあります(土宮の東にあります。)

【外宮境内:摂社】
・度会国御神社

【外宮境内:末社】
・大津神社

【外宮境内:所管社】
・御酒殿神
・四至神
・上御井神社
・下御井神社

 

皇大神宮(内宮)・豊受大神宮(外宮)を参拝された方は、大勢いらっしゃると思いますが、

別宮はまだ参拝したことがないという人も多いのではないでしょうか。

皇大神宮(内宮)・豊受大神宮(外宮)の境内にあるところは、時間に余裕があれば是非、参拝したいですね。

また、境外の別宮も125社の宮社と一緒に合わせて足を伸ばしてみたり、

皇大神宮(内宮)・豊受大神宮(外宮)と5カ所の別宮で「御朱印」を頂けるので、

7つ全部揃える旅に出るのもいいかもしれません。