伊勢神宮の全てのお祭りはここで確認!

 

家の近くの神社などでは、お祭りがあるとお神輿がでたり、山車がでて賑やかになります。

伊勢神宮のお祭りは、とても厳かで一般の人が拝観することが出来ない儀式なども行っています。

いったいどの様なお祭りなのでしょうか?

一年を通してどの様なお祭りが行われているのか、詳しく説明していきたいと思います。

 

目次

【伊勢神宮一年間のお祭りと行事】

1月1日:歳旦祭

1月3日:元始祭

1月7日:昭和天皇祭遥拝

1月上旬:大麻暦奉製始祭

1月第2月曜日:成人の日の神楽

1月11日:1月11日御饌(みけ)

1月31日:大祓(おおはらい)

2月4日:御鍬祭(みくわさい)

2月11日:建国記念祭

2月17日:豊穣祈願祭

2月17日~23日:祈年祭

3月5日:大麻暦頒布終了祭

3月春分の日:春季皇霊祭遥拝(しゅんきこうれいさいようはい)

        :御園祭(みそのさい)

3月下旬から4月下旬:神宮奉納大相撲

4月上旬:神田下種祭(しんでんげしゅさい)

4月3日:神武天皇祭遥拝

4月15日:蚕糸祭(さんしさい)

4月19日:月夜見宮春季大祭

4月中旬:大麻用材伐始祭

4月28日~30日:春季神楽祭

4月下旬:植樹祭

4月30日:大祓

5月1日:神御衣奉織始祭(かんみそほうしょくはじめさい)

5月5日:倭姫宮春の大祭

    児童福祉祭

5月上旬:神田御田植初(しんでんおたうえはじめ)

5月13日:神御衣奉織鎮謝祭(かんみそほうしょくちんしゃさい)

5月14日:神御衣祭(かんみそさい)

    :風日祈祭(かざひのみさい)

5月下旬:延寿大々神楽

5月31日:大祓

5月下旬~6月上旬:サツキと盆栽の奉納展示

6月1日:御酒殿祭(みさかどのさい)

6月上旬:神宮雅楽講習会

6月15日:御卜(みうら)

6月15日~25日:月次祭

6月下旬:花菖蒲の献花

6月24日伊雑宮御田植式

6月30日:大祓

7月中旬:神宮奉納花火大会

7月下旬:御塩浜の採鹹(さいかん)

8月上旬:荒塩づくり

8月4日:風日祈祭

9月上旬:抜穂祭(ぬいぼさい)

9月中秋:神宮観月会

9月15日:守武祭・記念俳句大会

9月17日:神宮大麻暦頒布始祭

9月秋分の日:秋季神楽祭

9月春分の日:秋季皇霊祭遥拝

9月30日:大祓

10月1日:御酒殿祭

    :神御衣奉織始祭

10月5日:御塩殿祭

10月13日:神御衣奉織鎮謝祭

10月14日:神御衣祭

10月15日:興玉神祭(おきたまのかみさい)
               :御卜

10月15日~16日:初穂曳(はつほびき)(お伊勢大祭り)

10月15日~25日:神嘗祭

10月25日:伊雑宮調献式

10月下旬:瀧原宮秋の御祭

10月31日:大祓

10月下旬~11月下旬:菊花の奉納

11月5日:倭姫宮の大祭

11月23日~29日:新嘗祭

11月30日:大祓

11月中旬~12月下旬:新穀感謝祭

12月1日:御酒殿祭

12月15日:興玉神祭

       : 御卜

12月15日~25日:月次祭

12月下旬:大麻暦奉製終了祭

12月23日:天長祭

12月31日:大祓

 

*三節祭(さんせつさい)

・6月の月次祭(つきなみさい)

・10月の神嘗祭(かんなめさい)

・12月の月次祭

※神宮のお祭りの中で、三節祭が最も重要な式典とされています。

 

*五大祭(ごだいさい)

・三節祭の3つと

・2月の祈年祭(きねんさい)

・11月の新嘗祭(にいなめさい)

※五大祭には必ず幣帛(へいはく)が捧げられます。

※幣帛とは、神様に奉献する御料の総称です。

(天皇が奉献されるものは、5色の絹と綿の布で、辛櫃(からひつ)に収められてお供えされます。)

※辛櫃とは、檜や杉の木で出来た運ぶ箱のことです。

 

【神嘗祭(かんなめさい)】

10月15日~25日

神宮のお祭りの中で、最も古くからの由緒があり重要とされるお祭りがこの神嘗祭です。

天孫降臨に出てくる神話で、天照大御神が高天原で稲穂を手にされ、

これこそが国民の主食にすべきだと三種の神器とともに寄託され、瑞穂の国へ向かったとされています。

そのお米を歴代の天皇がお作りになり、今年も新穀を実らせましたと初穂を天照大御神にお供えして五穀豊穣への感謝するお祭りです。

神嘗祭の神饌は30品目にもなり、一年で最大の御馳走になります。

(新米のお米・お餅、お酒、アワビ、鯛、サザエ、伊勢海老、野菜、果物など)

・由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ):午後10時に神饌をお供えされます。

・由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ):午前2時に神饌をお供えされます。

※由貴とは、清浄な、穢(けがれ)がなく尊いという意味です。

※神宮の祭祀は別宮、摂社、末社、所管社125社でも行われ、

お供えされる神饌の内容は社格に応じて異なりますが、神嘗祭のすべてのお社で共通して奉げられる御物は、

御飯、御塩、御水、蓮根、柿です。

また、神宮のお祭りでは、外宮先祭といって外宮で先に、祭儀が行われる習わしがあります。

 

≪神嘗祭にまつわるお祭り≫

御園祭:野菜や果物の豊作を祈願(3月春分の日)

神田下種祭:御料米の稲種を初めて神田に奉る(4月上旬)

抜穂祭:御料米の稲穂を抜く(9月上旬)

大祓:神嘗祭に先立ち祓い清めの儀式(9月30日)

御酒殿祭:御料酒がうるわしく醸造されるよう祈願(10月1日)

神御衣奉織始祭:神宮御料の和妙(にぎたえ)、荒妙(あらたえ)の奉織を始める儀式(10月1日)

興玉神祭:御垣内の地主神である興玉神をおまつりします(10月15日)

御ト:神職が神の御心にかなうかどうかお伺いします(10月15日)

・初穂曳(お伊勢大祭り):神嘗祭を奉祝し、伊勢の青年たちが奉曳車で両宮に初穂をお供えする。(10月15日、16日)

 

【月次祭(つきなみさい)】

12月15日~25日

1年に2回行われるに大祭で、三節祭の二つ

・由貴夕大御饌の儀

・由貴朝大御饌の儀

・奉幣の儀が行われる。

※皇室の弥栄、五穀の豊穣、国家の安泰、国民の平安を祈願します。

 

≪月次祭にまつわるお祭り≫

大祓:6月の月次祭に先立ち祓い清めの儀式(5月31日)

御酒殿祭:御料酒がうるわしく醸造されるよう祈願(6月1日)

興玉神祭:御垣内の地主神である興玉神をおまつりします(6月15日)

御ト:神職が神の御心にかなうかどうかお伺いします(6月15日)

大祓:12月の月次祭に先立ち祓い清めの儀式(11月30日)

御酒殿祭:御料酒がうるわしく醸造されるよう祈願(12月1日)

興玉神祭:御垣内の地主神である興玉神をおまつりします(12月15日)

御ト:神職が神の御心にかなうかどうかお伺いします(12月15日)

 

【祈年祭(きねんさい)】

2月17日~23日

「としごいのまつり」とも言いわれています。天皇が春の耕作始めの時期に、五穀の豊穣をお祈りされるのに際し、

神宮では天照大御神をはじめとする神々に五穀豊穣を祈り、お食事をお供えする大御饌と、勅使が参向し天皇の幣帛を奉る奉幣の儀が行われます。

祈年祭は両正宮とすべての宮社で行われます。

 

【新嘗祭(にいなめさい)】

11月23日~29日

秋の収穫を祝い、豊穣を感謝するお祭りです。

宮中で天皇が行う大祭に合わせて、神宮にも勅使が遣わされて奉幣の儀を行います。

それに先立ち、大御饌の儀も行われます。

天皇が新穀を天神地祇(ちぎ)に供え、天皇自らも食して、その年の収穫に感謝し、翌年の豊作を神嘉殿にて祈願します。

11月23日は、勤労感謝の日として国民の祝日になっています。

※すべての宮社でも行われます。

※天皇の即位後初めて行うものを大嘗祭という

 

【御祭り】

神宮のお祭りの本来の意義は、天皇が親しく大御神をおまつりされることにあります。

現在では、祭主が天皇の御名代(ごみょうだい)となって、御祭りの際にご奉仕されています。

昔は、天皇が替わるごとに未婚の内親王または、女王が斎王(いつきのひめみこ)として、天皇に代わってお仕えしていましたが、鎌倉時代からその伝統は途絶えました。

明治以降、祭主は皇族または元皇族の男子が大御手代(おおみてしろ)として務めてきましたが、戦後に入ってからは元皇族の女性が務めています。

また、神宮のお祭りのほとんどの儀式は、御垣内(みかきうち)で行われるので、一般の人は、直接その儀式を拝観することはできません。

※大御手代とは、天皇に代わって御幣 (ごへい) を手に持ち、神事を行う者のこと。

※御幣とは、神道の祭祀で用いられる幣帛の一種で、2本の紙垂(白い紙)を竹の幣串に挟んだもの。

 

 

 

【日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)】

常典御饌とも呼ばれるお祭りで、毎日朝夕2回、外宮御饌殿にて調製された神饌(お供え物)を大御神に捧げています。

(※毎日午前8時から午前9時までにかけての朝大御饌、午後3時から午後4時までにかけての夕大御饌の毎日2回、外宮御饌殿において御饌を供えて行う神事)

外宮の神事でもっとも有名なものの1つが、この「日別朝夕大御饌祭」です。

この神事は外宮の創建以来、戦国期の約120年間を除いて、

現代に至るまで1000年以上、毎日繰り返し行われています

天照皇大神と豊受大御神と、天手力男神、万幡豊秋津姫命、相御伴神三座の6柱の神様たちが、

神座に向かい合って共に食をされることになります。

(※「神座」とは「短い脚付の机」の事です。)

台座には「光沢のある美しい絹」が丁寧に覆い被せてあり、その上に「神饌(お料理)」を捧げています。

なお、神饌を調理する神職は、前日から「斎館」にて清めを行って早朝五時から外宮の「忌火屋殿」(いみびやでん)で「忌火」を熾すことからはじまります。

「忌火」とは、木と木を摩擦させて熾した清らかな火のことです。

毎朝新しい火を熾して、竈に移して甑(こしき)で、神田にて栽培したお米を蒸します。

平安時代は、生きていく上で必要な「お米、お塩、お水」が中心になってお供えしていて、

それ以外のものは産物が調達できた場合には一緒にお供えされていました。

現在の、お供え物の種類は「御飯(おんいい 蒸飯)3盛」•「御水(上御井神社の神水)」

•「御塩(みしお)」・「干鯛(季節により、スルメ・カマス・ムツ)」•「乾鰹」

・「海藻」•「野菜」•「果物(季節の果物みかん・なし・びわ)」•「清酒3献」をお供えしています。

お供えしたあとは、皇室の安泰と国家の繁栄、国民の幸せを祈る祝詞を奉上し、

八度拝という神宮独自の丁寧な拝礼を繰り返してから神饌をお下げします。

1回にかかるお祭りの時間は、約40分程ですが、調理にかかる時間を含めると一日4時間以上かっかています。

また、1月15日はお粥、3月3日は草餅というように、節句の日には特別な料理が加えられます。

御饌殿は外宮のみにあります。

 

 

【祝詞】

祝詞というのは神職が神に奉る文言を言います。本来は、私達がお経のように唱えるものではありません。

神職が考えた祝詞ですが、先人の優れた祝詞はそのまま定着しています。

公式サイトには掲載されていませんが、伊勢神宮の名がついた祝詞がありますのでご紹介します。

 

【伊勢外宮神前祝詞(いせとつみやしんぜんのりと)】

 

神風の伊勢国渡會の山田の原の(かむかぜのいせのくにわたらひのやまたのはらの)

 

底津石根に大宮柱太敷立(そこついはねにおおみやばしらふとしきたて)

 

高天原に千木高知て鎮り在坐(たかあまはらにちぎたかしりてしづまりまします)

 

外宮豊受皇大神亦の御名は(とつみやとようけのすめおおかみまたのみなは)

 

保食大神とも稲荷大神とも申奉て(うけもちのおおかみともいなりのおおかみとももうしたてまつりて)

 

蒼生等が喰て生べき五穀を始め(あおひとくさらがくひていくべきたなつものをはじめ)

 

諸々の食物衣物に至る及に生幸へ給ふ(もろもろのをしものきものにいたるまでになしさきはえたまふ)

 

廣く厚き御恵に報い奉ると(ひろくあつきみめぐみにむくいたてまつると)

 

稱辭竟奉て拝み奉る状を平けく安けく聞食と(ただへごとをへまつりておろがみまつるさまをたひらけくやすらけくきこしめせと)

 

恐み恐みも白す(かしこみかしこみもまをす)

 

 

【伊勢内宮神前祝詞(いせないぐうしんぜんのりと)】

 

神風の伊勢国祈鈴五十鈴原の底津石根に大宮柱太敷立(かむかぜのいせのくにさくすずいすずのはらのそこついわねにおおみやばしらふとしきたて)

 

高天原比木高知て鎮座座掛巻も(たかあまはらにひぎたかしりてしづまりましますかけまくも)

 

綾に尊き天照大御神亦の御名は(あやにとうときあまてらすおおみかみまたのみなは)

 

撞賢木厳之御魂天疏向津比賣命(つきさかきいづのみたまあまざかるむかつひめのみこと)

 

亦の御名は天照大日靈之命の大朝廷を祝奉て(またのみなは あまてらすおおひるめのみことのおおみかをいはひまつりて)

 

云巻も畏加禮と(いはまくもかしこかれと)

 

天津日嗣知食皇命の大御代を(あまつひつぎしろしめすすめらみことのおおみよを)

 

常磐に堅磐に護り奉給ひ(ときはにかきはにまもりたてまつりたまひ)

 

現き青人草をも恵み幸へ給へる(うつしきあおひとぐさをもめぐみさきはへたまへる)

 

廣く厚き御恩頼に報ひ奉ると稱辭竟奉りて(ひろくあつきみめぐみにむくひたてまつるとただへごとをへまつりて)

 

拝み奉る状を平けく安けく聞食と恐み恐みも白す(おろがみまつるさまをたひらけくやすらけくきこしめせとかしこみかしこみもまをす)

 

 

 

神宮のお祭りの一覧を見ると、神嘗祭、月次祭のために行われている祭典が一年を通して沢山あるのがわかります。

ここに記したものは一部に過ぎず、

小さいものを合わせるとその数は1500以上にもなると言われています。

この三節祭がとても重要なお祭りで、昔からの伝統が今も続いています。

そして、「五穀豊穣」や「平安への祈り」、「すべてのものに感謝する」など、

お祭りや祈りを通して「今あるものすべてへのありがたさ」が当たり前ではないと気づかされます。

日頃口にする、食べ物への不平不満などよりも、食べれることへの感謝に思いを向けていきたいですね。

この先も、ずっとこのようなお祭りを受け継がれていってほしいです。

 

関連ページ「伊勢神宮の外宮(豊受大神宮)
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