伊勢神宮の内宮(皇大神宮)

 

伊勢神宮には御正宮が2つあって、1つは豊受大御神をお祀りしている「外宮」で、

もう一つは、日本国民の総氏神様でもある天照大御神をお祀りしている「内宮」になります。

内宮」とはどの様なところなのか詳しくご案内していきたいと思います。

 

目次

*内宮の由来

内宮の正式名称は、皇大神宮(こうたいじんぐう)といいます。

内宮に祀られている神様は、皇室の御祖神(みおやのかみ)で、日本国民の総氏神でもある天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。

正式名称は、「天照坐皇大御神」(あまてらしますすめおおみかみ)といい、御神体は、三種の神器の1つである「八咫鏡」(やたのかがみ)です。

そして、同じ御殿に祀られている相殿神(あいどのかみ)は、東側に弓を御神体とする「天手力男神」(あめのたぢからおのかみ)と

西側に剣を御神体とする「万幡豊秋津姫命」(よろずはたとよあきつひめのみこと)の二柱と云われています。

およそ二千年前の崇神天皇(すいじん)の時代までは、天照大御神は皇居で祀られていましたが、その後、垂仁天皇(すいにん)の皇女の倭姫命(やまとひめのみこと)が

天照大御神をお祀りする土地を探し各地を巡られたのちに、五十鈴川のほとりで「この国にいたい」とお告げがあり現在のこの場所にご鎮座されたと伝えられています。

ちなみに、倭姫命天照大御神のお祀りする場所を探し巡っている時に、一時的に御鎮座され場所を「元伊勢」といい、現在も奈良県・滋賀県・三重県にその伝承が残る

神社や場所があります。そして、最終的になぜ伊勢の地を選ばれたのかは、様々な諸説がありますが、その一つに伊勢は、海の幸・山の幸に恵まれた「うまし国であるのが

その理由とされています。その他には、平和で災害のない美しい国であったのも理由の一つとされています。

 

*外宮から内宮への移動手段

昔から、「外宮先祭」といわれ神宮の神事は外宮・内宮の順に行われています参拝も外宮を先に参拝してから内宮を参拝するのが、正式な参拝方法とされています。

外宮を参拝し終わり、内宮に行くには約5km離れているので、公共交通機関を利用して移動する場合は、循環バスを利用するのが便利です。

≪循環バス≫

三重交通バス内宮行きに乗車して、

外宮前バス停→内宮前

約15分で着きます。

運賃:大人片道410円

≪タクシー≫

外宮のタクシー乗り場から内宮まで約15分

乗車料金:約2000円

≪徒歩≫

外宮から内宮まで、徒歩で約1時間

≪車≫

・車移動の場合、約15分

内宮・外宮ともに駐車場があります。

(外宮)2時間まで駐車無料

・外宮第一駐車場50台

・外宮第二駐車場210台

・外宮第三駐車場100台

(内宮)最初の1時間無料、そのあと2時間まで500円、以降は30分毎に100円

・内宮A1・A2駐車所207台

・内宮A4駐車場53台

・その他に内宮B1~B6まで駐車場があるが、少し離れている。

ただし、年末年始や祭事がある日などは混雑するため駐車できない可能性もあります。

※「らくらく伊勢もうで」のサイトで駐車場の空き状況が確認できます。

 

*内宮を参拝

皇大神宮(内宮)

御祭神:天照大御神

ご鎮座:垂仁天皇26年

面 積:神域は約93ヘクタール

本 殿:唯一神明造り

最寄駅: 近鉄 五十鈴川駅(徒歩30分・バス、タクシー6分)

所在地:三重県伊勢市宇治館町1

 

五十鈴川に架かる木造の橋の名前は「宇治橋」といい、全長101.8mあります。

両端にある鳥居は、両正宮に使われた棟持柱を再利用して建てられています。

宇治橋の正面の駐車所の奥には「饗土橋姫神社」(あえどはしひめじんじゃ)通称「橋姫さん

がお祀りされていて、宇治橋を渡る通行人の安全を見守ってくれています

五十鈴川は、倭姫命が長い旅を終えられ、裳の裾を濯いだことから別名で、御裳濯川(みもすそがわ)とも呼ばれています。

橋から神宮に向かって、右手に見える山は神路山(かみじ)で、左の奥に見える山が島路山(しまじ)で外宮の御神域になります。

宇治橋を渡ると、玉砂利の参道が続きます。内宮は右側通行になります。

明治初期までは、ここに神主の館が立ち並んでいましたが、現在は無くなり「神苑」になっています。

「神苑」を過ぎると火除け橋があります。内宮にある火除け橋は2カ所でもう一つは神楽殿と参集殿の間にあります。

さらにすすむと古札納所と手水舎があり、すぐ近くを流れる五十鈴川の水を汲み上げて使っています。

この手水舎は昭和3年に設置され、それまでは五十鈴川で直接お手水を使っていました。

いまでも五十鈴川御手洗場の利用も出来ます。そのすぐ横には、内宮の所管社「瀧祭神」(たきまつりのかみ)がお祀りされています。

一の鳥居をくぐると、左側に「斎館」があり、その奥に「行在所」(あんざいしょ)があります。

右前方にしめ縄で囲われている場所は、大祓をする「祓所」になります。年に8回お祭りに奉仕する全神職がここで大祓を受けます。

つづいて、二の鳥居があり、皇族、勅使の方々はここでお祓いを受けます。

左側には、「神楽殿」があり、御祈祷のお神楽を行う御殿で、御神札・御守り・ご朱印などを授与する所でもあります。

神楽殿を通り過ぎると、「五丈殿」「御酒殿」「由貴御倉」「忌火屋殿」「御稲御倉」「外幣殿」と

内宮の所管社の「四至神」(みやのめぐりのかみ)があり、内宮神域を守る神様で石畳の上にお祀りされています。

樹齢8百年の太い杉の樹が、両脇にある参道をさらに進むと、御正宮の皇大神宮につづく石段の前に着きます。

石段下の前には、「御贄調舎」(みにえちょうしゃ)があり、祭事の前に天照大御神の御饌津神である外宮の豊受大御神をお迎えして、

神饌のアワビの調理をする神事が行われる所になります。

そして、いよいよ石段を登り、御正宮を参拝いたします。

内宮の本殿も、外宮同様に外側から「板垣南御門」「外玉垣」(とのたまがき)「内玉垣」(うちたまがき)「瑞垣」(みずがき)と4重の垣に囲まれていて、

外玉垣南御門を入ると、中重鳥居の左右に八重榊が立てられていて、昔に玉串を立ててお供えしていた名残だと言われています。これは内宮のみになります。

一般の方が入れるのはここまでになり、入口に垂れ下がっている「御幌」(みとばり)と呼称される白い布の前で参拝いたします。

内宮の東宝殿と西宝殿は御正殿の奥にあり、外宮と位置が異なります。

 

≪参拝方法≫

一般的な参拝作法としては、「二拝二拍手一拝」の二度頭を下げて、パンパンと柏手を二回、その後にもう一度頭を下げる作法です。

内宮も外宮同様、「私幣禁断」で個人的なお願い事はせず、国の繁栄や国民の平安、世界平和などを祈ります

個人的な祈願は、神楽殿もしくは、第一別宮の「荒祭宮」で行います。

※御正宮など撮影禁止箇所がありますので、境内看板をご確認ください。

 

≪通常の参拝可能時間≫

10月・11月・12月:朝5時~午後5時

1月・2月・3月・4月・9月:朝5時~午後6時

5月・6月・7月・8月:朝5時~午後7時

 

*内宮境内にあるその他のお宮

御正宮以外の境内にある別宮・摂社・末社・所管社

≪別宮≫

荒祭宮(あらまつりのみや)

御祭神:天照大御神の荒魂

風日祈宮(かざひのみのみや)

御祭神:級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)

≪所管社≫

瀧祭神(たきまつりのかみ)

御祭神:瀧祭大神

社殿を持たない所管社だが、別宮と同等の祭祀が捧げられています。

 

興玉神(おきたまのかみ)・宮比神(みやびのかみ)・屋乃波比伎神(やのはひきのかみ)

御祭神:内宮の守護神

3社は、内宮の御垣内に鎮座し、社殿を持たない神社です。

 

御酒殿神(みさかどののかみ)

御祭神:御酒殿神

御酒殿祭では、神酒が無事醸造するよう祈願と日本の酒造業の繁栄を祈願しています。

 

御稲御倉(みしねのみくら)

御祭神:御稲御倉神

御正宮と同じ唯一神明造で、神田で収穫された稲が御稲御倉へ納められています。

内宮の祭祀のたびに御稲御倉から稲が取りだされ、天照大御神に大御饌として捧げられています。

 

由貴御倉(ゆきのみくら)

御祭神:由貴御倉神

御正宮と同じ唯一神明造で、

「由貴」とは、清浄で穢れのないという意味で、

由貴大御饌(ゆきのおおみけ)に御贄(みにえ)を奉納するのに使用していた倉です。

 

四至神(みやのめぐりのかみ)

御祭神:四至神

神域の四方の境界を守る、守護神です。

社殿を持たない神社だが、参拝方法は御正宮と同じく「二拝二拍手一拝」で参拝します。

 

大山祇神社(おおやまつみじんじゃ)

御祭神:大山祇神

宇治橋を渡りまっすぐ進み、衛士見張所の近くに子安神社とともに並んで鎮座しています。

山の守護神である大山祇神は、伊弉諾命(いざなぎのみこと)と伊弉冉命(いざなみのみこと)の子供です。

 

子安神社(こやすじんじゃ)

御祭神:木花開耶姫神(このはなのさくやひめ)

大山祇神社境内に鎮座しています。

大山祇神の娘で、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の妻でもある木花開耶姫神は、火の中で3人の子を産んだという神話が残されているので

安産、子授け、縁結び、厄除けの祈願に訪れる人が多くいます。

 

 

*籾だね石の秘話とは?

内宮御正宮に向かう石段手前の左隅に、「籾だね石」と言われる高さ4mほどの大きな苔むした岩があります。

その岩には秘話があり、今から約200年前に天明の大飢饉で大変な食糧難に見舞われた時に、御神威にすがるために楠部村に住む人々が、

五十鈴川の上流から長い年月をかけ、この岩を運び奉納したのですが、その間も食べるものがなく、籾を食べて岩を運んだので「籾だね石」

と呼ばれるようになったと云われています。

 

*その他の見どころ

御厩(みうまや)

外宮と同じく、神馬(しんめ)が毎月1日、11日、21日の早朝に菊の御門の馬衣を着け御正宮にお参りしています。

参集殿(さんしゅうでん)

参拝者の為の無料休憩所があり、行事の時には中央にある能舞台で、能や狂言が奉納されています。

≪季節の草花≫

3月: 場所:神苑・子安神社前

4月: 場所:宇治橋周辺

5月:新緑 場所:五十鈴川御手洗場

12月:紅葉 場所:五十鈴川御手洗場・風日祈宮橋

2月:寒桜 場所:子安神社前

 

*内宮にある神宮の森

「神宮の森」と呼ばれる2千年前の太古の姿をそのまま残している、約5,500ヘクタールある宮域林があります。

内宮の裏にある神路山・天照山・神垣山ことをいい、内宮ご鎮座以来、大御神の山として崇められてきました。

式年遷宮の約1万本以上のヒノキ用材を伐りだす山は、御杣山(みそまやま)といい、かつては神路山と島路山、高倉山の内宮・外宮背後の山からすべて調達いていましたが、

その後、三河国に移り、美濃国に移り、伊勢国・大杉谷を御杣山としています。近年では、森林経営計画で神宮周辺の神路山、島路山、高倉山を再び御杣山にしようとヒノキの植

林を続け、式年遷宮の用材としてまた使用できるように長い年月をかけて計画されています。

 

内宮の参拝する季節や時期によって、通常の参拝と他にも楽しみが増える場合があります。

祭事がある日でタイミングが合えば見る事ができますし、春ならば、お花を見る楽しみが増えます。

また、伊勢には毎月1日に1ヶ月無事に過ごせたことを感謝し、また新しい月の無事を願いお祈りする「朔日参り」をする風習があるので

毎月1日の朔日参りの日であれば、地元の特産品が並ぶ朔日朝市も楽しめます。

あとは、何気なく通り過ぎていた岩にも秘話があると知ってから見ると、また違う目線で楽しむことが出来ます。

正式参拝の順で、外宮を参拝し、内宮に向かい五十鈴川で直接手を清めるのもいいですね。

そして、日本国民の総氏神様でもある天照大御神に日頃の感謝と世界の平和を祈り参拝する。

色々その他にも楽しみ方があると思うので、通常の参拝にプラスして楽しい伊勢参りができたらいいですね。

 

 

 

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